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<機関誌「SCOUTING」2023年5月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>
■ 野外活動のための安心・安全講座
2021(令和3)年度
そなえよつねに共済 事故データ分析
「そなえよつねに共済」で取り扱った事故データ分析の結果がまとまりましたので報告いたします。2012年度から全加盟員が保険(2014年度からは共済)対象となり、ボーイスカウト全体における事故の傾向が把握できるようになりました。2021年度の事故発生件数(報告件数)は178件で傷病の延べ数は269 件でした。データやコメントなど、安全管理にお役立てください。
傷病別(延べ数)
傷病別では「骨折」の割合が最も多く、昨年度より17件増加の56件で第1位でした。第2位は「擦り傷」と「脱臼・捻挫・靱帯損傷」で昨年度から増加の33件でした。第3位の「打撲」は昨年度の17件から13件増加の30件でした。これら4傷病で全傷病の56.5%を占めています。「その他」の項目はそのほとんどがマダニなどによる虫刺されです。事前の準備や適切な服装をすることで被害を減らすことができます。また「その他」の中には熱中症も見られます。活動が活発化することで熱中症のリスクが高まることが懸念されます。
発生場所
事故の発生場所として最も多かったのは「団キャンプ場・県連盟野営場等ボーイスカウト運営の野営場」でした。ついで「山・原っぱ・公園等」です。COVID-19により活動が抑制されていましたが、活動が再開されることにより野外での事故発生が増加しています。また移動中の事故も引き続き多く発生しています。移動中は大きな事故につながる可能性が高く、今一度安全に対する意識が必要です。
活動内容
ビーバー部門での事故1位は「準備・かたづけ」で3件、2位は「水遊び」で2件でした。指導者などが準備・かたづけをしている際に事故が発生しています。カブ部門での事故1位は「ハイキング・ナイトハイク」で8件、2位は「ゲーム」「休憩中・自由時間等」「移動中」で各4件でした。ハイキングなど活発な活動の中で事故が発生しています。ボーイ部門での事故1位は「調理」「ハイキング・ナイトハイク」で各8件、2位は「休憩中・自由時間等」で6件でした。調理中の事故として熱湯による火傷が多くなっています。誤って倒してしまうなどの事故であり、周囲の整理整頓や作業時の声掛けなどで事故を減らすことも可能かと思います。ベンチャー部門での事故1 位は「スノーボード」「ハイキング・ナイトハイク」「準備・かたづけ」で各2件でした。ローバー部門での事故1位は「休憩中・自由時間等」「移動中」で各3件でした。指導者の事故1位は「移動中」で8件、2位は「撤営」で5件でした。
 
まとめ
共済事業に移行して8 年目、COVID-19が流行してから2年目の事故分析となりました。例年と比較すると活動は縮小しましたが、前年度と比較すると活動数の増加に伴い事故発生件数も増加しています。受傷内容も重傷化の傾向にありますので今一度安全に対して高い意識を確認いただきたいと思います。分析において気になった点をまとめました。第一に、各部門における傷病の上位に骨折や脱臼など重傷化しやすいものがあるということです。これらの傷は完治までに長い時間を要するとともに、日常生活における制限も多くなります。行動前に体を十分にほぐしておくことなど事前の準備を十分に行うことも有効と考えられます。 第二に、マダニによる傷病が多く見られることです。マダニに咬まれることでダニ媒介感染症のリスクも高まります。マダニは春から秋にかけて活発に活動するといわれています。草むらや藪などに立ち入る場合、長袖長ズボンの着用、足を完全に覆う靴、帽子や手袋の着用など肌の露出を少なくすることが大切です。 最後に、移動中の事故がスカウト・指導者問わず多いことです。車道や歩道での事故は大きな怪我の可能性がある上に周囲の方を巻き込む可能性があります。交通ルールの順守はもちろん、自転車のヘルメットなどの保護具の着用により、事故の発生の抑止と怪我の防止に努めましょう。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2023年5月号にも掲載している内容です

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