<機関誌「SCOUTING」2023年11月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>
■ 野外活動のための安心・安全講座
スマホの影響
指導者、スカウト、誰もが持っているスマートフォン(スマホ)。スマホは我々の生活にとって無くてはならないデバイスになっており、大人も子どもも手放せないという人も多いのではないでしょうか。今回はスマホの影響について考えてみます。
スマホは、調べる、見る、読む、遊ぶ、撮る、位置確認、支払うなど、大いに役立つ道具です。むしろそれがなくては行動が困窮してしまうほど頼りになる相棒です。しかし、そんな便利な道具でも、使い方ひとつで心身への計りしれないストレスの要因となることもある、ということを理解する必要があります。
近年、ゲームとSNSによるスマホ依存症が問題となっており、特に男性がゲーム、女性がSNSにはハマるというデータがあります。ゲームはいつでもどこでも気軽にプレーすることができ、興味を引く映像や音楽、ゲームの中で使えるポイントがもらえたり、世界中のプレーヤーと対戦しレベルアップしていくという、大人でも引き込まれる仕掛けが仕組まれています。よりいいアイテムを手に入れるために「課金」することにより、泥沼にはまっていく人もいます。SNSは居心地のいいサイトを見つけると「自分を認めてもらえている」、「ここが私の居場所!」と感じ、ハマってしまうケースがあります。その反面、信じていた「私の居場所」で叩かれてしまうとへこみ、時には「自殺」を考えるに至ることがあります。
スマホの影響について例を挙げてみます。
- 勉強や食事や睡眠時間を削り、長時間をスマホに費やしてしまう。
- 夜更かしのため朝起きられず、遅刻や欠席が増え学業成績が低下。
- スマホが目の前にあると気が散ってしまい、集中力や認知能力が下がる。
- スマホが使えない環境になると不安を感じる。
- ネガティブなニュースや SNSの投稿に感情を揺さぶられてしまう。
- 情報をうまく整理できないと過剰な不安やストレス、イライラが募る。
- コミュニケーションが取れず、人間関係がうまくいかなかったり、友達関係が悪化する。
- 使用時間のことで注意されると、感情のコントロールができず当たり散らし、家族との関係を悪化させる。
この記事はスマホの使用自体を否定するものではありません。スマホに限ったことではなく、すべてにおいて「バランスよく」というのが大切です。「道具」は使いこなすものであり、「道具」に使われ、振り回されてはいけません。スカウト活動においても自分のスキルアップに、プログラム立案に、仲間どうしの連絡に、野営やサイクリングに、隊・班集会にと、大いに役立つこの「道具」を有効に活用してください。
ルールを決めて、デジタルデトックス[一例]
スマホ依存から脱却するために時間や場所など、ルールを決めて使うようにしましょう。
□ 娯楽のために使用するのは2時間まで
□ 夜の9時以降は使用しない
□ トイレやお風呂には持ち込まない
□ 布団に入ったら触らない
□ 一定の時間触れない
□ アプリの通知をオフにする時間をつくる
あえて、意識的に無理なくスマホから距離を置く工夫をしてみましょう。最初は不安で仕方ないと思いますが、勉強時間を取れる、睡眠の質が向上する、ストレスが軽減する、自分で考える思考力が高まるなど、の効果が得られるはずです。
ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2023年11月号にも掲載している内容です