インタビュー #01
日本連盟 専務理事 佐野友保 / 常務理事 出田行徳100周年を機に、未来に躍進できるスカウト運動を
—今年度は新体制のスタートとなります
佐野 運営系と教育系の役割を明確にしました。ボーイスカウトは、あくまでも「 組織 」ではなく「運動」です。総コミッショナーをはじめ教育関係の方々には、スカウトたちへのプログラムの展開についてバージョンアップをお願いしました。また、スカウトたちをよく育成していくためには、より良い指導者の育成も大切だと考えています。—今年3月末の登録状況では、ビーバー部門が前年比増に
佐野 ワクワク自然体験あそびの効果が大きいです。しかし、2022年度の加盟登録状況を見ると、やはり新型コロナウイルスの影響か、加盟員の減少は続いています。改めて、この運動の認知度を高めるとともに、活動の質を向上させることが急務であると感じています。—事業計画に、「ミッション」を定めました
出田 スカウト運動とは、未来を担うことのできる立派な青少年を育てることです。ボーイスカウトで学んだスキルを社会に役立て、この運動の価値を高めることが目標になります。これが、日本のボーイスカウトに関わるすべての人々の「使命」と考えています。—最重点施策として、「スカウト運動をより多くの仲間に提供する」と
出田 大事なことは、新しい仲間を呼び込むだけではありません。活動の質を高めることも重要と考えています。たとえば、ここ2年、野外活動ができない状況でしたが、スカウト運動を止めませんでした。目的が達成できれば手段が多少変わってもやむを得ないので、いまの環境に合わせた活動を続けることが大切です。—成果目標を「83,000人」と提示しました
出田 やっと下げ止まりがきたか、という思いがあります。そんなときだからこそ、明確な数値目標を定めて、1年後に取り組みを評価できるようにします。肝心なことは、「 スカウト運動を進展させていく」活動は、各地の団などが主体となって取り組むものであるということです。日本連盟は、そのための支援を行います。全国のみなさんのご協力をお願い申し上げます。—ボーイスカウトエンタープライズの改革を進めました
佐野 エンタープライズが日本連盟の財政を支えるポジションになりつつあります。この収益事業などによって、これ以上の登録料上昇を回避するだけでなく、登録料の減額に結び付けられないかと考えています。—お二人に伺います。100周年事業について
佐野 11月に、記念式典やレセプションの開催を計画しています。この100年、日本のボ ーイスカウト運動は皇室の方々と非常に深い関わりをもって続いてきました。その歴史の重みと、この先の100年への期待を感じられるようにしたいと考えています。 そして、記念募金です。社会的な格差により、ボーイスカウトの活動をしたくても続けられずに悩む青少年が増えています。彼らに手を差し伸べられるよう、社会から篤志を募ります。さらに、100年間の社会教育運動の歴史をまとめるデジタル・ライブラリーを設けることで、未来の青少年教育に資するものになると考えています。 出田 社会ニーズの高い「防災」について、活動で身につく技術などを用いて社会に還元する「防災キャラバン」を、今年もイオンさんと共同で全国で展開すること。そして、「スカウトの日」を長年支援し続けていただいているセブン – イレブン記念財団さんの協力で大きく展開する「プラごみバスターズ大作戦」。いずれも、より多くの地区や団の方々にご参加いただくことが重要と考えています。—最後に、2022年をどんな年にしたいかお教えください
佐野 この運動が社会に受け入れられてから、 100年が経ちました。指導者は、スカウト一人ひとりがより良き社会人として幸福な人生を歩むために手を差し伸べたい、という思いで活動を展開しています。その思いは変わりません。この運動を信じていただいて、社会を変えていく年にしたいと思います。 出田 100年も続いている社会教育団体はないと思います。この、「100年継続するボ ーイスカウト」が何をしているのかを社会の皆さんにきちんとご理解いただくことができれば、この運動の未来が出来ていくと思います。 101年目以降のことを考えて、さらに盛り上げていきましょう。 聞き手: 理事/広報委員長 澤朋宏ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2022年5月号にも掲載している内容です