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<機関誌「SCOUTING」2022年1月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>

 


岐阜
他人の人生を変える力
岐阜第17団 ローバースカウト 坂本 聖弥

スカウト活動を終えて帰宅すると、所の山の上空に数機のヘリが飛んでいることに違和感を覚え、急ぎSNSで調べてみると「百々ヶ峰で6歳男児行方不明」という記事があった。行方不明からすでに4時間ほど経過して陽が落ちたのにまだ発見されてない事態に、いてもたってもいられず、ビバークを前提とした登山装備を背負って家を出た。
当時、手元の気温計では摂氏9°C。6歳児では体温維持は難しく、状況を考えると今夜が山場という一刻を争う事態だった。警察捜査範囲外にも存在の可能性があることを考え、急斜面から藪まで男の子の名前を呼びながら探し回った。
捜索から1時間30分経った21時ごろ、呼びかけに対して微かに返事が聞こえ、その方に向かうと登山道もない急斜面の藪の中に座っている男の子を発見し救出した。
今回、この行動がとれたのは、日ごろのスカウト活動から得た奉仕の精神と、趣味の登山で培った山に対しての経験と知識が原動力になったと思う。「ボランティア活動」ということが世間に浸透し、いざというときに助け合えることはすばらしいことである。
遭難者救助という事態は稀だが、交通事故や、困っている年配者や障がい者に出会うことは決して稀なことではない。
そんな場面では、ボーイスカウトで身につけた人助けの精神を思い出し、決して無理はせず、自分の能力を確認し、可能な範囲で行動することが大切だと今回のことを通じて強く感じた。
自分がボーイスカウトでつけた力で誰かを助けることによって、その人の人生を変えるかもしれない。そのようなときに、いつでも人助けができる力を身につけられるボーイスカウトの活動は、とてもすばらしいと思いませんか ? 日本のボーイスカウトの益々の繁栄を願って。

岐阜新聞  2021.10.28

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2022年1月号より

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