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<機関誌「SCOUTING」2022年3月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>
野外活動のための安心・安全講座
本当にそれでいいのかな ?
~計画書作成、下見実施、保険加入のあるある~

スカウト活動において、私たちは安全について特に注意を払い、計画書の作成や下見、保険加入など、さまざまな対策に努めています。 しかしながら、慣れや忙しさから、その本質をつい忘れてしまうようなことはありませんか。 今号では、指導者に起こり得る「あるある」を事例に、自分の行動を振り返って考えてみましょう。

 
安全計画書あるある 〜ビーバー隊の隊集会にて〜
団委員長
「入隊式後初めての集会だから、ちょっと見に来ました。活動にもってこいの場所ですが、 いくつか危なそうなところがあるようですね。安全計画書はどうなっていたかな? 隊長、ちょっと見せてもらえますか ?」
隊長
「あっ…… 車の中に置いたままです。副長、ちょっと見せてくれるかな」
副長
「私はリーダー会議を欠席したので、計画書をもらっていません」

安全計画書は「作ること」が目的になっていませんか?作ることで「安心」していませんか?
計画書作成の際、プログラムを実施するうえで想定される危険やリスク(やけど、溺れる、熱中症等)を把握し、その対処法(事前準備、監視、救命具の準備、水分補給等)を検討します。そうすることで、計画書の作成過程で、プログラム上の安全対策を立てることができます。また、計画書で情報を共有し、指導者会議や団会議等でチェックを重ねることで、より充実した安全対策ができます。
下見あるある 〜カブ隊のリーダー集会にて〜
隊長
「8月の隊集会はキャンプですが、場所は○○山キャンプ場で決まりですね」
DL1
「あのキャンプ場は、いい場所だと聞いています。さっそく下見ですね」
DL2
「私、そこにはよく行くのですが、近くに美味しいパスタのお店があるんですよ」
副長
「じゃあ、早めに出かけて、打ち合わせを兼ねてランチでもしましょうよ」
隊長
「日程は来週の日曜日でどうでしょう ?」
DL1
「その日なら行けます」
DL2
「私もその日は大丈夫です」

下見は「行くこと」が目的になっていませんか?
安全に活動するためには、原則として下見が必要です。活動場所を実際に確認することで、具体的な安全対策ができます。裁判例では、下見は「危険発生に関する未知ないし不確定要素を把握して取り除く」ものとされています。下見をすることで具体的な危険を予測し、その危険を除去することが求められます。
保険あるある 〜団会議でのボーイ隊長の報告にて〜
隊長
「今、お配りしたのが、ボーイ隊の夏キャンプの計画書です」
団委員長
「スカウトがチャレンジしがいのある、冒険的なプログラムですね。 ただ、この活動は事故も起こりやすそうだし、保険の対象にはならないのでは ?」
隊長
「『そなえよつねに共済』の手引きを見たら、適用されるみたいです」
団委員長
「それなら安心ですね !」

保険に入っていたら「安心」で終わっていませんか?
どんなによい活動でも、事故が起こってしまえば最悪の活動になってしまいます。 指導者は、活動において第一にスカウトの安全を確保しなければなりません。安全を確保するためには、日ごろから知識と技能、安全に向けた態度を持ち合わせておくことが大切です。
参考書籍/『 安全ハンドブック ~ダイナミックなスカウティングのために~』(2021年4月発行)
「安全計画書」「下見」「保険」は、どれも安全を確保するうえで大切で欠かせませんが、上記のように、それぞれ「作成」「行くこと」「加入」自体が目的になってはいませんか? スカウトが「安全」に、指導者が「安心」して活動するために、それぞれの本当の意味を再確認してみましょう。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2022年3月号より

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