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<機関誌「SCOUTING」2022年3月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>
スカウティングと信仰

「信仰をもつ」「信仰心を育てる」と一言で表されますが、指導するのはなかなか難しいものです。しかしながら、私たち指導者はさまざまな工夫を凝らして、スカウトたちに信仰心や宗教心を教えていかなければなりません。本誌では毎号、活動や日常の生活における信仰についてさまざまな切り口で触れていますが、今一度「スカウティングと信仰」についてまとめてみたいと思います。

 
1. はじめに
多くの宗教の教義は、心の支えを与えつつ、より良い社会(世界)を創ることを目指すものになっています。それぞれの教えに違いはあるかもしれませんが、多くの宗教が両親をはじめとする先祖への感謝から始まり、私たちの生活を支えている人やモノ、自然への感謝と愛護が含まれているのではないでしょうか。
2. 「感謝」と「手を合わせる」ということ
先述のとおり、感謝とは信仰の始まりではないかと思います。感謝の対象はさまざまですが、代表的な宗教の多くでは、感謝の心をもって祈りを捧げ、儀礼を行っています。年末年始、皆さんも感謝をもって神仏に手を合わせる機会があったのではないでしょうか。そのとき、口から出る言葉が「お願いします」であっても、心の中では「神さま(仏さま)ありがとうございます」と唱えていたのではないでしょうか。日本では、多くの方が「手を合わせる」という動作を経験しているでしょう。この動作は、相手に何かをお願いするときによく使われますが、これは願いを叶えてくれることに対して感謝を表す態度だと思われます。手を合わせること、拝むことが「祈る」という信仰へ繋がっていくのです。  
3. 各年代における信仰奨励
ビーバー年代より前の幼年期でも、手を合わせて祈るという行為が自然と身についているのではないでしょうか。日本に昔からある祭りや風習、季節の行事をうまく活用し、手を合わせて祈るという動作をくり返し行うことが大切です。指導者が動作の意味や導きを話すことで、ビーバー年代の信仰奨励へと繋げていきましょう。カブブックには最初に「信仰とたしなみ」という課目があり、学年によって「笑顔」「感謝」「心がけ」という項目で信仰を促しています。カブ年代は「組」という固定的なメンバーで活動しますが、「笑顔」「感謝」「心がけ」は仲間と接するときの良い指針になり、組の結束や相互関係の構築にも役立つでしょう。これらの課目を活用して、隊長から信仰について話す機会を作ると良いと思います。 ボーイ年代になると信仰奨励章の取得が進級要件に入り、より具体的に信仰に取り組むことになります。信仰奨励章は、スカウツオウン・サービスを中心に、アンノウンスカウトの逸話や班での奉仕活動、信仰する教宗派の宗教儀礼への参加や教導職から話を聞く、B-P のラストメッセージを班内で話し合うなど、信仰を深めることで取得できます。年少部門と同様に、くり返し実施することで理解を深め、活動の中で日常的にスカウツオウン・サービスを行うようにすることが大切です。 ベンチャー年代のスカウトには、宗教章を取得するようにぜひご指導ください。自身の信仰する教宗派のことを学び理解し、多くのスカウトが明確な信仰心をもつよう願っています。ローバー年代および指導者は、日本連盟の規程に従って信仰をもち、スカウトの指導にあたらなければなりません。明確な信仰をもつことで、その言葉はスカウトへより深く伝わります。
宗教章
4. おわりに
E.E.レイノルズは、著書『よい青少年をつくるには』の中で、『ベーデン – パウエルによれば、スカウト活動とは「少年に、生活における個々の責任についての実際的知識を与え、日常生活に宗教の教えを実践することを教えこむことを目的とする」ものである』と書いており、スカウティングと信仰について関連の深さを示唆しています。信仰奨励委員会は宗教関係者の会※と協力し、スカウトが日常生活において「教え」を実践していけるよう、今後も信仰奨励を推進していきます。
信仰奨励委員会
 
※宗教関係者の会 スカウトおよび指導者に明確な信仰を奨励し、その支援を通じて、個々の優れた人格形成に貢献するとともに、内外にボーイスカウト運動を普及し、青少年の健全育成に寄与することを目的とした、全国の宗教教導職や信仰奨励に取り組んでいる有志による会。 役務 (1)スカウツオウン・サービスにおける講話の提供を行う。 (2)ボーイスカウト指導者への信仰奨励の指導と協力を行う。 (3)ボーイスカウトにおける宗教儀礼等を行う。 (4)日本連盟主催大会における信仰奨励等に伴う奉仕に参加する。 (5)スカウトが身近で宗教章や信仰奨励章に取り組めるよう協力教師を紹介し、支援する。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2022年3月号より

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