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<機関誌「SCOUTING」2022年3月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>

1922(大正11)年4月13日、静岡県で開催された「第1回全国少年団大会」において、ボーイスカウト日本連盟の前身である「少年団日本連盟」の結成が決議されました。以降、時代と共にさまざまな変遷を遂げ、今日に至ります。今号では、ボーイスカウトに関する「モノ・コト」のルーツから日本連盟100年の歴史をたどります。また、いよいよ迎える創立100周年を目前に控え、現在進行しているプロジェクトやジャンボリーの新着情報等をご紹介します。

 

「モノ・コト」のルーツをたどって・・・・・・

 

スカウトの象徴
記章(徽章)と制服の始まり

1923(大正12)年、少年団日本連盟の徽章と帽章が制定され、日本民族の崇敬の象徴である三種の神器(鏡剣璽)があしらわれました。深尾韶(少年団日本連盟主事)が発行した『スカウト読本』〔1925 (大正14)年〕には、「見習少年健児になるまで」の中に「徽章」の項があり、形に込められた意味が記されています。

この徽章は三種の神器および巻物から成っている。鏡は光明、徳澤、智識を表し剣は正義、秩序、勇気を表し、勾玉は富、仁愛、円満を表す。而して剣の柄に垂れた紐の結ばれたのは、日善すなわち毎日必ず善行することを忘れぬ為の用意である。神器の精神の導くところに従って、我等は標語の示す立派な人格を築き上げんが為に、巻物を配して之を健児の章としたのである。

一方、制服の始まりについては、『少年団研究』の創刊号〔1924(大正13)年〕に「少年団日本連盟における服装の基準を定めた」ことが記されています。ここには、指導者の制服、団員(スカウト)の制服、帽子の基準とともに、以下のような注記がされていました。

少年団員は大体世界共通の制服を着し一定の徽章を付している。
(中略)単に簡便であるというだけではならぬ。一度之を着用するならば真の少年団の人となって団の精神に基づく何物かを負担してこの道のために尽力するように願いたいものである。

少年団日本連盟が「財団法人大日本少年団連盟」に改称した1935(昭和10)年には、服装規則を改正し、それまで「制服」として規定していたものを標準服(第1号服装)、それ以外を第2号服装として認め、服装は各団の状況によって適宜制定してよいという自由性をもたせました。その後も時代背景に合わせた改正を重ね、現在の制服に至ります。
現在の制服は、スカウト運動を活性化と更なる発展を目指し、活動のしやすさ、ボーイスカウトを再び社会へ定着させること、新たな加盟員の増加を期して2015(平成27)年に改定したものです。

 

スカウト教育の道標
機関誌『スカウティング』の始まり

『ジャムボリー』  1948年1月

少年団日本連盟結成時の規約に「第8条 本連盟ハ機関雑誌ヲ発行ス」とあり、少年団日本連盟は機関誌『少年団研究』〔1924(大正13)年 ~1941(昭和16)年 〕を発行しました。
その後、戦争による中断を経て、1947(昭和22)年に東京ボーイスカウトクラブ※が『ジヤムボリー』という冊子を発行し、それを改訂して発行した戦後の機関誌『ジヤムボリー』〔1948(昭和23)年1月〕が、現在の機関誌『スカウティング』の創刊号にあたります。

『ジヤムボリー』も、指導者向けの『スカウター』とスカウト向けの『ジャンボリー』を経て、1955(昭和30)年には現在の名称である『スカウティング』へと変化を遂げます。『スカウティング』に改称した当初は、指導者向けの『スカウター』とスカウト向けの『スカウト』として交互に発行し、『スカウティング』が指導者向けの定期刊行物となったのは、1956(昭和31)年のことです。
※連合国軍占領下で日本連盟再建のための活動を担った機関

 

■機関誌の役割

『広辞苑』によると、機関誌は「団体または個人が、その活動内容などの発表・宣伝・連絡のために発行する新聞や雑誌類」です。その意味が示すとおり、機関誌『ジヤムボリー』㐧一号には、班制教育やゲーム、活動資金の在り方といった戦後のスカウト運動再建に不可欠な要素が盛り込まれていました。

『ジヤムボリー』第1号の内容(一部)
日本ボーイスカウトの再建について/三島 通陽
「班長への手紙」(ローランド・フィリップ著)/内田 二郎(訳)
火を作る方法/林 正篤(訳)
ゲーム・・・友ひろい/磯 稔
BS 運動資金はスカウトの拠出金によれ
「班制教育」(ローランド・フィリップ著)/三島 通陽(訳)

連盟機関誌は、昔も今も変わらず、「スカウト教育の理念と方法に関する記事を継続的に掲載すること」を基本にしています。機関誌が昔から指導者にとってプログラムを進める上で必要な情報を伝える読み物であったことは、 1954(昭和29)年に発刊した指導者向け機関誌『スカウター』の中で、三島通陽第4代総長が記した「より訓練への期待」の言葉からも裏付けられます。

真面目な我が指導者達は、隊のプログラムの充実の上に、各地区の指導者円卓会議の充実の上に、より多くのよき資料の次々と流れ来るのを長く待っていた。
(中略)この小誌が津々浦々の指導者のよき伴侶となり、その発刊の理由の、より大きく発揮されんことを期待して止まない。弥栄。

機関誌は、今や欠かすことのできないホームページやSNSといった各種情報提供ツールがある中で、指導者がそれを手にすることで「スカウト教育に必要なこと、あるいは優先されるべき事柄、指導者が理解しておくべきこと」などについて一人でじっくりと読み考えるだけでなく、他の指導者と話し合うためのヒントとして活用できるものとして、その基本を守ってきました。今後もその役割は変わりません。

『スカウター』1948年4月

『スカウティング』1955年6月※『スカウティング』に名称変更した最初の号

 

現在とこれからの100年に向けて・・・・・

2022年4月13日、いよいよ創立100周年を迎えます。この記念すべき年に、これからのボーイスカウトの輝かしい未来を願って、皆がいきいきと活動できるきっかけづくりを進めてきました。スカウトも指導者も皆がひとつになって積極的に参画し、未来への一歩を進めましょう。

 

写真(下)は蓄光イメージです。
100周年 チャリティーチーフリング 550円(税込)

創立100周年記念
チャリティーチーフリング

創立100周年を日本中で祝うために、多くのスカウトがこのチーフリングを着用して元気に活動することを願って「チャリティーチーフリング」を製作、発売しました。昨年、大好評だった布製チーフリングの特別バージョンで、ロゴの部分は蓄光仕上げになっています。チャリティーチーフリングの購入金額の一部は、創立100周年記念募金への寄付になり、「未来の子どもたち基金」や「スカウトミュージアム(デジタル)設立」に役立てます。
チーフリングとして使うだけでなく、マーカーやコード留めなど、アイデア次第でさまざまな使い方ができます。
スカウトや指導者はもちろん、一般の方にも「100周年」を広く伝える機会として、ぜひご着用ください。

https://www.scoutshop.jp/


 

スカウトの歌プロジェクト

前号(本誌2022年1月号 No.747)で紹介した「スカウトの歌プロジェクト」。皆さんから寄せられた「ことば」を紡いで、スカウトの夢が詰まったメッセージ性の高い「スカウトの歌」を作るプロジェクトです。昨年10月から11月にかけて「ことば」を募集したところ、全国のスカウト、指導者、保護者の皆さんから400を超えるさまざまな「ことば」が集まりました。現在、皆さんの想いが詰まった「ことば」をひとつのスカウトの歌にするために、主に小中学生向けの合唱曲を多く手掛けている弓削田 健介氏に制作を依頼しています。楽曲は4月13日のボーイスカウト日本連盟創立100周年記念日に合わせて発表、5月の全国大会でお披露目予定です。ぜひ楽しみにお待ちください。

スカウトの歌プロジェクト
https://www.scout.or.jp/member/scoutsong-project/
弓削田 健介氏紹介
https://www.scout.or.jp/member/scoutsong-project4/

南アフリカに移動図書館車を贈る活動での現地学校訪問にて。
活動の様子はQRコードでご覧いただけます。

[プロフィール]
弓削田 健介(ゆげた けんすけ)/ 1982年福岡県生まれ
合唱作曲家・子どもミュージカル作家。主に小中学生が歌う合唱曲を作曲。キャンピングカーを拠点に、日本全国の小中学校や海外日本人学校などで2,000回を超えるスクールコンサートを行い、メディア出演時は「放浪の合唱作曲家」と呼ばれる。澄んだ歌声が特徴のピアノ&ギター弾き語りミュージシャンとしても活動。旅から得た気づき、出会いと感動を元に作曲するスタイルで、4冊の楽譜集と絵本を出版。2020年、音楽の教科書(小学校4年生・教育芸術社)に楽曲が掲載される。

スカウトの夢プロジェクト

2021年10月から募集している「スカウトの夢」が続々と届いています。
第2期募集の締切は3月31日(木)です。ご応募お待ちしています。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2022年3月号より

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