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<機関誌「SCOUTING」2022年1月号の記事を本サイトにも掲載しております。内容は機関誌発行当時のものです。>

日本連盟 理事長
水野 正人

あけましておめでとうございます。今年が皆様にとって良い年になることを祈念いたします。 1921年、皇太子であられた後の昭和天皇が欧州を訪問され、スカウト運動の創始者ベーデン-パウエル卿とご縁があったことから、翌年にボーイスカウト日本連盟が創立され、今年100周年を迎えます。多くの卓越した先達の情熱とご尽力のお陰で、私たちがこの記念すべき年を祝賀できることに心より感謝いたします。

今年は記念式典や東京を核とした分散開催形式の日本スカウトジャンボリーをはじめさまざまな記念事業も準備しています。そして今年は次の100年に向けて健全なスカウト運動を発展させるために確固たる志を共有するときでもあります。一昨年来、新型コロナウイルス感染症で停滞したスカウト運動を、感染が沈静化した今、感染防止には万全を尽くしつつ100周年を祝い、全国で活動を活発化させようではありませんか。

さて、日本連盟ではここ数年間、長中期計画と併せて「財政再建と組織改革の基本方針」に取り組み、各担当役員の皆さんのご尽力で成果を上げ、財政は収支相償となり、エンタープライズ事業も健全化しました。また組織も運営系と教育系の体系でガバナンス、コンプライアンス、内部統制、リスク管理、財務・人事管理などに透明性、実効性をもたせ、ホームページで情報公開をしています。今後は高萩スカウトフィールド等の資産をさらに有効活用するための施策を進めてまいります。またDX: デジタルトランスフォーメーションを推進し、遠方の皆さんも出席しやすいリモート会議の仕組みや、電子決済システムを導入しリモートで速やかな決済を可能にするなどの効率化も進めました。こうした技術も活用して、折に触れ広く全国の皆様のご意見を伺い、情報交換をしつつ活動に反映させる風通しの良い組織になるよう努力をしてまいります。

スカウト運動の活性化にはスカウトの仲間づくり、すなわち加盟員拡大に成果を上げなければなりません。そのための中途退団抑止策や社会連携・広報を始め、様々な活動の現場を支援する具体的な施策を立て、県連盟、地区、団の皆様と共に力を合わせ実践してまいりますので、どうぞご協力をお願いいたします。

国際面では、特に一昨年来リモート会議の充実で頻繁なコミュニケーションが取れるようになったことも幸いし、当連盟は世界スカウト機構、アジア太平洋地域の一員として、積極的に国際活動を進めております。

昨年8月オンラインで開催された第42回世界スカウト会議には170の国と地域の連盟が集い、人類社会・生態系の持続可能な開発目標を実践する SDGs や、スカウト運動に不可欠なセーフ・フロム・ハームなど多くの議題について真剣に討議されました。その会議には多くのキーワードが出されましたが、特に私の心に残ったのは「レジリエンス : 打たれ強い・強靭性」という言葉です。地球温暖化に起因する気候変動が今まで以上に地球に多くの災害をもたらすことを危惧し、私たちスカウトはどのようなことが起きても決して諦めずにベストを尽くすことを示唆したのだと思いました。パトロールシステムや野外活動によるさまざまな訓練を通じて、未来を創る青少年の人間性を高め、リーダーシップを育むこのスカウト運動はすばらしいと、改めて感じています。

100周年を機にスカウト運動の創始者ベーデン-パウエル卿の遺志を読み直し、気持ちを新たにしたいと思います。

「幸福を得るほんとうの道は、ほかの人に幸福を分け与えることにある。この世の中を、君が受け継いだ時より、少しでもよくするように努力し、あとの人に残すことができたなら、死ぬ時が来ても、とにかく自分は一生を無駄に過ごさず、最善をつくしたのだという満足感をもって、幸福に死ぬことができる。幸福に生き幸福に死ぬために、この考えに従って「そなえよつねに」を忘れず、大人になっても、いつもスカウトのちかいとおきてを堅く、守りたまえ。神よ、それをしようとする君たちを、お守り下さい」(『スカウティング フォア ボーイズ 』B-P の最後のメッセージより)

今年がスカウト運動にとってすばらしい年になるようにどうぞご協力をお願い申し上げます。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2022年1月号にも掲載している内容です

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