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Scouting Never Stops! コロナ禍の中で
「富士スカウト章」取得
夏の暑さも落ち着き、活動しやすい季節となった秋。全国各地から、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染予防対策を徹底したうえでの活動再開の声が聞こえています。今号では、新型コロナによる影響を受けながらも、「進歩に関する特別措置」を適用して「富士スカウト章」を取得したスカウトの事例をご紹介します。

  進歩に関する特別措置 本誌2020年9月号(No.739)でもご紹介したとおり、新型コロナへの対策として「進歩に関する特別措置」を講じています。これは教育規程7-33「考査の原則」および7-34「考査の基準」に則して「隊長の責任において特別な考査基準や考査方法を設けることができる」ことを重点に柔軟な対応をすることで、スカウトの活動意欲(特に進歩に対する意欲)の低下を防ぎ、進歩や進級の歩みを止めないことを目的としています。 特別措置を講じる際は、環境や状況に合わせて活動や考査の方法を柔軟に設定するほか、活動制限の緩和など状況に変化があれば、考査基準および考査方法を逐次見直しましょう。また、スカウトの進級に対する挑戦意欲や成果、「ちかい」と「おきて」の実践等を評価し、困難な状況下で進歩および進級したことに対してスカウト自身が誇りをもてるように最大限配慮しましょう。 挑戦している進級課程の項目が上進時期までに修了しなかった場合には、継続あるいは次の課程と並行して取り組み、進級章取得に挑戦することができます。特に、ベンチャースカウト(隼スカウト)が挑戦の対象である「富士スカウト章」については、ベンチャー隊にとどまれる期間(18歳に達する日以後の、最初の3月31日まで)を過ぎた4月1日以降も「富士スカウト章」の申請を6か月間延長することが可能です。  
コロナ禍でも、できることを最大限に  埼玉・川越第2団富士スカウト章取得までの経緯2020年1月31日 隼スカウトになり、ここから富士スカウト章取得のため、技能章、宗教章、プロジェクトの取り組みを開始。 2020年8月23日 地区面接(少人数で対面実施) 2020年9月20日 県連盟面接(少人数で対面実施) 2020年10月3日 富士スカウト章取得特別措置を適用した項目2.スカウト技能 (2)自ら設定する課題により、2泊3日の単独キャンプ(固定または移動)を計画し、隊長の承認を得て実施後、評価を報告書にまとめ隊長に提出する。 宿泊を伴う活動が制限されていたため、後日実施し報告書を提出することとした。 5.信仰 (1)宗教章を取得するか、取得に対して努力したことを隊長に認めてもらう。 2020年4月および5月に仏教章の講習会に参加を予定していたが、講習会が中止になったため、次回講習会開催時(10月および11月)に参加して取得することとした。 「未来予想図プロジェクト」 ボーイ隊のスカウトたちがベンチャー隊に上進して、より良き社会人になっていけるように、自分たちがボーイ年代のころに悩んでいたことや知りたいと思っていたこと(スカウト活動と部活や勉強との両立、進路や将来など)について、先輩スカウトとして体験談などをふまえてアドバイスした。 スカウトの感想 ベンチャースカウト 森 陽太(高3) スカウト活動や学校での授業が急になくなり、家にいながら何も手につかない状況が数日間続きましたが、逆にフリーで使うことができる時間が増えました。その中で、何もせずに寝ているのではなく「何かしてみよう」と布団から出るだけでも目の前は明るくなると思い、「今がチャンスだ!」と前向きに考え、富士スカウト章取得に向ける時間としました。『スカウティング フォア ボーイズ』をもう一度読み直したり、竹細工章や木工章など家で取り組める技能章に取り組んだりと、外出できないからこそできることに着目してレポートに取り組みました。 レポートの作成では、パソコンなどのデジタルツールを活用することにより、手書きよりも内容の向上に時間をかけることができ、より良いものができたと思います。また、進級に挑戦することは自分の基礎知識や能力の向上に繋がるため、自分自身が楽しく取り組むということが大切だと感じました。今回の富士スカウト章取得にあたっては、外出自粛等で野外活動ができる機会があまりなかったため、家でできることを考えて課題や技能章に取り組みましたが、今後、野外活動のスキルを高めるために、他の技能章にもチャレンジしていこうと考えています。 全国で活動するスカウトの仲間にも、自分の実力や知識を形として表すために進級に取り組み、富士スカウト章の取得に向けて頑張ってもらいたいと思います。また、自分自身も富士スカウト章の取得をゴールにせず、引き続き努力していこうと思います。
隊長所感 ベンチャー隊長 久保 大輔 スカウトが「10月までに富士スカウト章をとる!」と目標をもち、取り組みました。コロナ禍でも取得できる技能章や、実演できない項目についてはレポートに取り組むなど、この状況でどのように取り組んだらよいかをスカウト自らが考えて進めていきました。隊長として、実演を中心として課題に取り組みたいと考えていましたが、なかなかできる状況にならなかったため、レポートを中心に進めました。リモートでの打ち合わせやメールでやり取りをしながらレポートを進め、技能章は自宅で実施した成果を写真に撮ってレポートにして考査員に確認していただきました。スカウトは、かなりの分量のレポートを頑張って作成しました。また、リモート(ZOOM等)の利用については、高校生年代は学校等で使用していることも多いようで、すんなり実行できるので活用しやすかったです。 何よりも、スカウトのやる気が大切なので、隊長として「新型コロナのせいでできなかった」「自粛中だったからしょうがない」などとスカウトが思わないように支援を続けることが大切だと思います。そのために、特別措置の内容をよく確認し、地区コミッショナーや地区の進歩進級担当委員に相談して、どのように取り組むとよいか活動計画を立てることで支援しやすくなると思います。
今回紹介した事例のように、スカウト運動の本質を捉えながら、今までの常識にとらわれない新しいスタイルでの活動にスカウトが取り組んでいけるよう、指導者として柔軟な考えをもち、スカウトを支援していきましょう。 https://www.scout.or.jp/member/covid19_scout_advancement/  

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2020年11月号より

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