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Scouting Never Stops!
スカウト仲間を増やそう

例年、入学や新学年を迎える春や、さまざまな環境に慣れてくる秋は、スカウト募集の特に重要な時期ですが、今年は新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)感染拡大によって4月に緊急事態宣言が出され、大きな影響がありました。このような状況において、Webで体験集会を開催するなどの工夫をしていた団もありますが、多くの団は活動そのものの自粛に伴い、募集活動もままならない状況が続いたのではないでしょうか。

「体験・入団」希望の問い合わせ

日本連盟ホームページを経由した「体験・入団」希望の問い合わせ数を見てみると、昨年度は4月の問い合わせが200件あり、他の多くの月も100件を超えているものの、長期休み(夏休み、冬休み、春休み)にあたる月は、他の月よりも問い合わせが少ないようです。

緊急事態宣言期間中の数を見てみると、4月は36件で前年の200件に対して8割減のわずか18%。続く5月も66件(対年度比56.8%)でした。ところが、緊急事態宣言解除後の6月は対前年度比143.2%の199件となり、7月は155件(対前年度比117.4%)でした。
このことから、新型コロナの影響を受けて激減した問い合わせは揺り戻し傾向が顕著であり、この問い合わせ者を取りこぼさず、さらに潜在的な入団希望者を掘り起こすためには、全国的にボーイスカウトの露出を高め、集中的に新規募集活動を行うことに一定の効果があると考えられます。

 

募集活動の実際

新規加盟員の獲得に向けて、これまでにも各団でさまざまな対応を行ってきたことでしょう。地域性やスカウトの構成状況によっては、同じ「募集活動」でも異なる面が多々ありますが、今回は一般的な募集活動の実施方法を示します。

 

1.体験集会等を設定する

チラシ、口コミで募集するにしても、どこかで実際にスカウト活動を体験(見学)してもらうことが必要です。普段の隊集会で受け入れるのか、あるいは特別なイベントを準備するのか、どのような機会で行うのかをまず検討しましょう。

2.募集対象を設定する

募集計画において、どの年代を対象とするのかを検討し、活動や保護者向けの説明内容、対応者などを検討します。

3.告知(チラシ、ポスター、口コミ、SNSの活用)をする

告知の方法や内容も重要です。対象児童の家庭に確実に届けるには、幼稚園や学校などからチラシを配布してもらうことが有効です。

  • 学校などで配布してもらうには、普段から地域の学校と連携することが重要です。
  • 「募集」と書くと狙いがしっかり伝わる反面、学校などでは配布してもらいにくくなります。「自然体験」などとすることで、一般児童向け事業であることを明確にして教育委員会の承認を得ましょう。
  • 「ビーバー隊」「団委員長」「団ハウス」など、つい使いがちなスカウト用語に気をつけるだけで、「話が分かりやすく、配慮のある人たちだな」と好印象になります。特に、スカウトの募集年代は隊名ではなく学年中心の表記(小学3 〜5 年生:カブ隊 など)にすることで、どの年代に当てはまるのかが伝わりやすくなります。

 

4.体験集会を実施する

集会は、それぞれの対象年代などを考慮した計画のもとで実施しますが、さらに「募集」を意識した対応が必要となります。

  • スカウトの活動の中に一般児童を招き入れる形が多いと思います。集会当日は、ベンチャーやローバーなどの若いスカウトが参加者のサポートを行いましょう。先輩スカウトの凛々しい制服姿と笑顔が、安心感と好印象を与えてくれます。
  • 親子で参加しても、児童が徐々にスカウトの輪の中に入り込むにつれ、保護者の方が手持ち無沙汰になることが多々あるようです。このようなとき、スカウト運動についてなどをうまく伝えられるベテランの指導者や、保護者と同世代の団委員(あるいはスカウトの保護者)などが対応できるとよいでしょう。
  • 活動紹介のコーナーを設けることも効果的です。スカウト技能全般だけでなく、四季を通じた普段の活動写真を展示するなどの工夫をしてみましょう。

 

5.お礼の手紙を出す

参加した児童および保護者宛に、お礼の手紙を出しましょう。メールなどでもよいですが、必ず次の集会を案内するようにします。秋以降も、新型コロナの状況に十分留意しながら、各団でスカウト募集の方法についてよく検討して取り組んでいきましょう。


ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2020年9月号より

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