文字サイズ

1.LGBT とは LGBT という言葉が浸透して久しくなりました。LGBTとは、Lesbian (レズビアン:女性同性愛者)、Gay(ゲイ:男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル:両性愛者)という性的指向、Transgender(トランスジェンダー:性別越境者)という性自認の頭文字をとったもので、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつです。 性的指向とは、どのような性別の人を好きになるか、ということです。これは自分の意志で選びとるというより、多くの場合、思春期に「気づく」ものです。 また、性自認 (性の自己認識)とは、自分の性をどのように認識しているのか、ということです。「心の性」といわれることもあります。多くの人は「身体の性」と「心の性」が一致していますが、「身体の性」と「心の性」が一致せず、自身の身体に違和感をもつ人たちもいます。 LGBTの人口規模に関する公的な統計データは存在していませんが、日本の人口における LGBTの割合は約8%(13人に1人)といわれています。こうしたことから、一定数の人がいるということは事実です。
  2.さまざまな性のあり方 前項では、LGBTについて紹介しましたが、セクシュアリティは LGBTとそうではない人でくっきりと分かれているわけではなく、さらにさまざまな性のあり方が存在します。 Xジェンダー(「心の性」が男女どちらかに規定できない/しない人)やAセクシュアル(無性愛者:性的指向をもたない人)、ノンセクシュアル(非性愛者:恋愛感情をもっても性的欲求を抱かない人)、パンセクシュアル(性的指向が性別にとらわれない人)のほか、インターセックス(性分化疾患:解剖学的、遺伝子的な性の発達が先天的に非定型的な状態の人)や、異性の服装を好んで着用するトランスヴェスタイト/クロスドレッサーという人たちもいます。 いずれのアイデンティティも、分類することが大事なのではなく、その多様性が認められ、あらゆるアイデンティティの人が生きやすい社会になることが大切です。
  3. LGBTへの取り組み LGBT当事者の中には、性的指向や性自認をカミングアウト※1することによいつわって、「自分を 偽 ることなく生きたい」と思っている人が数多くいます。一方で、「カミングアウトをすると、これまでの人間関係が崩壊してしまうのではないだろうか」「友人、学校、職場等から否定的な反応がかえってくるのではないだろうか」と悩んで、カミングアウトできない人たちもいるのです。カミングアウトは、自分のセクシュアリティを受け入れ、肯定する過程でもあり、自分らしく生きていくための手段のひとつです。 性は多様で個人の尊厳に関わる重要な問題といわれています。今日では、あらゆる人々に配慮し、以下のようなさまざまな対応がなされるようになりました。
①性別などに関係なく、誰でも使えるトイレを設置する ②書類から性別の欄をなくしたり、自らの意思で自認する性を書き込めたりするような形にする ③就職活動で LGBTへの配慮をする ④自認する性別の制服、衣服や体操着の着用を認める など
このように、あらゆる多様性を受け入れるために、私たちは常に考え続ける必要があります。
  4.スカウト活動での取り組み 世界スカウト機構(WOSM)では、「第24回世界スカウトジャンボリーで、若者と大人を危険から守ります……スカウティングは、男性と女性のメンバー、異性愛者、ゲイの男性、レズビアンの女性、バイセクシュアル、トランスジェンダーの人々を歓迎します」との告知を行っており、LGBT問題を広く受け入れています。※2 今後、日本連盟でもどのような取り組みを行うのかが研究課題となっています。 </hr />

「セーフ・フロム・ハーム」・安全委員会

  ※1 カミングアウトとは、Coming out=“coming out of the closet” のこと。「クローゼットに押し込まれている状態」から出て、陽のあたる場所に自分を置く決意のことです。 ※2 24WSJ の SfH のページより抜粋 https://www.2019wsj.org/about/safe-from-harm/  

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2020年1月号より

 

<ビーバースカウト カブスカウト ボーイスカウト ベンチャースカウト ローバースカウト 団運営 >の記事