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— 少年斥候隊(ボーイスカウト)の運動は、少年を軍人に仕立てる予備教育のように考えるものがあるけれども、これは甚だしい誤解であって、実は少年をして名誉と愛国との観念を信条化せしめ、精神、身体共に強壮なる人間に仕上げようとするものである。従って其の訓練の如きは、日本武士道の真髄を採ってこれを行うものである — ロバート・ベーデン- パウエル 1921(大正10)年、皇太子殿下(のちの昭和天皇)が渡欧されイギリス・エジンバラで開催されたスカウトラリーを親閲された際、ボーイスカウト運動の創始者であるベーデン- パウエル卿が謁見し、皇太子殿下に少年斥候隊の要旨を言上しました。この後、皇太子殿下がエジンバラのスカウトを前に述べられたおことばが日本国内に伝わり、1922(大正11)年に少年団日本連盟が結成されました。

皇太子殿下( のちの昭和天皇)がイギリス・エジンバラでボーイスカウトをご親閲
(1921.5)

  — ここに予が、かねてより聞き及んでいたエジンバラ市少年斥候隊の盛大な会合を見ることを得たのは大なる喜びとするところである。先に予がロンドンを去らんとする前日、諸子の最も尊敬する少年斥候隊長ベーデン・パウエル中将は親しく予を訪問して、この運動が世界の人々は同胞であるという精神をもっており、然してこの運動の成功は、やがて世界永久の平和を建設するに貢献することが少なくないであろうと告げた。予はこの如く美しい精神を保持するこの運動が、当然収むべきあらゆる成功を勝ち得ることを切に祈ると共に、最近日本において同じ目的をもって起った少年団運動が、時を追うて今日ここに見るような進歩の域に達し、この運動の目的とする貴い使命を実現するに協力せんことを望むものである(後略) — 皇太子裕仁親王殿下(のちの昭和天皇) 日本連盟では、100周年記念事業実行委員会のもと、5つの小委員会を設けて各種事業等の準備を進めています。今号では、検討および準備中の事業をご紹介します。第18回日本スカウトジャンボリーなど、スカウト中心の事業もいよいよ本格的に始動しますので、2021年を100周年に向けた有意義な年にしていきましょう。 ※ 掲載している情報は、2020年12月10日時点の検討に基づく予定内容です。今後、変更になる場合がありますのでご了承ください。 創立100周年記念史 日本連盟では、これまで、『日本ボーイスカウト運動史(50年史)』『運動史Ⅱ(80年史)』を発刊してきました。現在、これらに続く、創立81周年以降100周年(いずれも年度区切り)までの運動史を『日本ボーイスカウト運動史Ⅲ 』として編纂しています。また、ボーイスカウト運動の創始から、日本における100年のボーイスカウト運動史を、持ち運びできる読み物『より良き世界の創造を目指して〜日本ボーイスカウト運動100 年史〜(上)・(下)』として発行する予定です。
『日本ボーイスカウト運動史Ⅲ』【主な内容】 第1章 2003(平成15)年度〜2008(平成20)年度 日本連盟運営組織体制の改編と世界スカウトジャンボリー招致を目指して第2章 2009(平成21)年度〜2015(平成27)年度 新法人移行と 23WSJを目指して 第3 章 2016(平成28)年度〜2022(令和4)年度 創立100 周年を目指して 【発行予定】 2023( 令和5)年夏季
『より良き世界の創造を目指して〜日本ボーイスカウト運動100 年史〜(上)・(下)』【発行予定】 [上巻] 2022(令和4)年秋季 [下巻] 2023(令和5)年夏季
いずれも完全予約販売です。予約等に関する情報は、詳細が決まり次第改めて本誌および日本連盟ホームページ等でご案内します。 記念式典/レセプション

天皇陛下( 昭和天皇)をお迎えして挙行した50 周年記念式典(1972.11.5 東京・明治神宮)

創立100周年を迎える2022年の1月1日~12月31日を100周年記念年期間とし、多くのスカウト経験者がこれまでの自身の経験と教訓を現代の社会に活かし、スカウト運動がより良い世界を創造する(Creating a Better World)ことを目指す教育団体であることを広く示すとともに、これからの発展のための決意を新たにするため、全国でさまざまな記念行事を展開する予定です。そのひとつとして、100周年記念式典およびレセプションの実施を計画しています。 第18回日本スカウトジャンボリー(18NSJ) 日本スカウトジャンボリーは、日本におけるスカウト運動最大の国際的な教育イベントです。4年周期で開催する本大会は、毎回、開催年や開催地の特色を生かしながら、スカウト教育を反映させたテーマを設定しています。2018年に石川県で開催した第17回日本スカウトジャンボリーから4年。日本連盟創立100周年を迎える2022年に開催する18NSJは、創立100周年記念大会として、日本のスカウト運動と自立したスカウトの姿を広く社会に示すとともに、東京湾臨海部をメイン会場として地域社会とつながるような展開を予定しています。 会 期 2022(令和4)年8月4日(木)〜10日(水)6泊7日間 参加者は、8月4日(木)に入場し、8月10日(水)に退場。6泊7日間のキャンプ生活を行います。 テーマ 100+f 〜自分のfを探せ〜(ひゃくプラスエフ じぶんのエフをさがせ) 今大会は、日本連盟創立100周年記念大会に参加するスカウトたちが、これまでの100年の歴史を振り返るとともに、これからの100年を築き上げる契機となるよう、スカウトが自ら考えるさまざまな「f」(futurefriend family faith fun fujiなど)を探して未来に向かっていくという、スカウトの自主性とそれらを発信していく姿を表すことをテーマにしています。 会 場 東京・海の森公園(江東区)、神奈川・東扇島東公園(川崎市)ほか 東京湾に浮かぶ中央防波堤内側埋立地にある東京都海の森公園と、人工海浜や各種広場からなる川崎市東扇島東公園を会場とし、東京都および隣接する県まで活動範囲を広げて展開します。

東京・海の森公園( 江東区)

神奈川・東扇島東公園( 川崎市)

 
日本連盟の歩み
1922(大正11)年
少年団日本連盟設立 日本連盟、国際事務局に登録 少年団日本ジャンボリー開催
1923(大正12)年
関東大震災。各種奉仕活動をスカウトが展開
1939(昭和14)年
関山中野営場 富士臨雲健児寮落成
1949(昭和24)年
財団法人ボーイスカウト日本連盟として再発足 全日本ボーイスカウト全国大会開催(皇居前広場、日比谷公園)
1950(昭和25)年
那須野営場開設
1956(昭和31)年
第1回日本ジャンボリー開催(長野県軽井沢) ※以降、4年を周期に開催
1957(昭和32)年
第1回日本ギルウェル実修所開設
1958(昭和33)年
団制度開始
1964(昭和39)年
東京オリンピックおよびパラリンピック奉仕
1970(昭和45)年
万国博覧会(大阪)奉仕
1971(昭和46)年
第13回世界ジャンボリー開催(静岡県朝霧高原) 第23回世界スカウト会議開催(東京プリンスホテル)
1972(昭和47)年
沖縄のスカウト運動、日本連盟に正式移行 日本連盟結成50周年記念事業(明治神宮会館)
1973(昭和48)年
第1回日本アグーナリー開催(愛知県青少年公園) ※以降、4年を周期に開催
1982(昭和57)年
ボーイスカウト運動創立75周年・日本連盟創立60周年記念事業
  参加対象 ボーイスカウトおよびベンチャースカウト 日 程 全参加者が、多彩なプログラム活動に参加できるよう、プログラムは複数日で実施する予定です。また、期間中の気候を勘案して、開会式および閉会式、ジャンボリー大集会等の全体行事は、主に夜間の時間帯に実施することを計画しています。 今号で紹介した事業以外にも、さまざまな検討を行っています。また、Scout Shop ではすでに100 周年記念商品( 本誌p31 参照)の販売を開始しています。今後の展開も楽しみにお待ちください。  
 
1984(昭和59)年
第1回シニアースカウト大会開催 (主会場: 宮城県南蔵王、活動基地:東北地方の4県に13か所設置)
1986(昭和61)年
ビーバースカウト部門発足
1988(昭和63)年
「おきて」を8か条に改正
1989(平成1)年
昭和天皇崩御、大喪の礼にスカウト代表参列
1995(平成7)年
全部門への女子の加入を認める阪神淡路大震災奉仕
1997(平成9)年
日本連盟創立75周年中央式典開催(東京都日比谷公会堂)
1998(平成10)年
長野冬季オリンピック・パラリンピック奉仕
1999(平成11)年
ベンチャー部門プログラム実施
2007(平成19)年
世界スカウト運動創始100周年記念事業
2008(平成20)年
第38回世界スカウト会議にて、2015年の第23回世界スカウトジャンボリーの日本開催が決定
2011(平成23)年
東日本大震災奉仕
2012(平成24)年
日本連盟創立90周年事業
2015(平成27)年
第23回世界スカウトジャンボリー開催(山口県阿知須)
2016(平成28)年
熊本地震奉仕
2017(平成29)年
山中野営場閉場 大和の森 高萩スカウトフィールドグランドオープン
2018(平成30)年
第17回日本スカウトジャンボリー開催(石川県珠洲) ※日本ジャンボリーを日本スカウトジャンボリーに名称変更
 

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2021年1月号より

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