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信仰奨励委員会 森定 信吉 私のスカウト時代の話です。ボーイ隊には「ゴミ拾いはあたりまえのことなので、奉仕や善行にならない」という独自のルールがありました。当時の私たちには、これがなかなかの難問で、ゴミ拾い以外の奉仕や善行を見つけて実践することに、結構苦労していました。 クリーン作戦を行ったある日、開会のときに団委員長が「ゴミ拾いは、単に身の回りをきれいにするということだけではなく、神様(天地自然)のお体をきれいにさせていただいていることでもあるから、心をこめて取り組みましょう。そうしたら神様がお喜びになって、私たちに『徳』というご褒美をくださいますよ」という話をしてくださいました。 当時、報いを求めない「無償の奉仕」についてはよく教えられていましたし、それまで私は、ゴミ拾いや善行は単に人のためにするのだと思っていたので、神様からご褒美がもらえるという話は新鮮で、なにかちょっと嬉しいような気持ちになったことを今でも憶えています。 昨今の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、各方面から自粛要請が出され、私たちの日常生活は一変してしまいました。スカウトの行事も中止や延期になり、今まで普通に集会や活動ができていたことが、どんなにありがたいことであったかを改めて感じさせられました。 しかし、集会ができなくとも、スカウトが家で過ごす時間がたっぷりあるということは、「日日の善行」や家事を担って生活力をつける良いチャンスです。我が団では、ラジオ体操カードのような「励み表」を作り、それぞれの家庭で目標を立てて、日々その取り組みを実践することを推奨しました。 集会の時だけでなく、いつも「日日の善行」を気にかけているということは、他の人と、さらには神仏( 天地自然)とも、いつもつながっていることと同じだと思います。 世界中の国や個人が互いに協力しなければならない状況だからこそ、私たちスカウトは、他者に幸福を分け与える習慣をしっかりと身につけ、神様に喜んでいただけるようになりたいものだと切に思います。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2020年7月号より

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