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野外活動のための安心・安全講座
台風や豪雨から身を守る

2018年 西日本豪雨災害

1.台風や豪雨災害の増加
近年、7月から10月にかけて、日本列島では台風や豪雨による大規模災害が多発しています。2019年は、9月に台風15号、10月に台風19号が関東・東北地方を相次いで襲い、各地で河川の氾はんらん濫や住宅の被害をもたらしました。また、台風だけでなく、前線やそれに伴う線状降水帯の発生が、長時間続く猛烈な雨をもたらすことも多くなっています。 こうした台風や豪雨の発生は、温室効果ガスによる地球温暖化の影響ともいわれています。災害の要因は複雑なため、地球温暖化だけが直接的な原因とはいえませんが、地球温暖化がもたらすリスク( 気象災害の深刻化、水不足、食料不足等)は増大しているという科学者の意見もあります。原因はともかく、過去5 年間の日本における大規模災害をまとめてみると、毎年どこかで発生していることがわかります。 「災害はいつ起こってもおかしくない」と考え、それに向けた対策を講じておく必要があることは、すべての人が認めるところでしょう。  
2.台風や豪雨災害と隊活動
過去には、ジャンボリー期間中に台風が襲来したことがたびたびありました。第2 回日本ジャンボリー(1959年滋賀・饗あいばの庭野)、第13回世界ジャンボリー(1971年 静岡・朝霧高原)、第9回日本ジャンボリー(1986年 宮城・南蔵王)では台風の直撃を受け、緊急避難を経験された方もいらっしゃると思います。 気象衛星やコンピューターの進化により、台風については進路予想がかなり正確にできるようになりました。しかし、線状降水帯による豪雨は予想が難しく、危険を感じ始めたときには避難できないほど増水してしまうことが多いのです。 対策としては入念な下見と情報の収集が大切です。キャンプの下見では、キャンプ場の施設やどんなプログラムができるかに目が向きがちですが、安全対策の確認も重要なポイントです。中洲でのキャンプなどは論外ですが、キャンプ地までの道路の状況や河川の有無、緊急時の避難場所の確保など、チェックリストを作成して下見を行うとよいでしょう。降雨予想では、気象庁のレーダー・ナウキャストや大雨・洪水警報の危険度分布、国土交通省のXRAIN などを活用することにより、ピンポイントで降水状況の確認や災害危険度を調べることができます。 気象の変化を常に監視し、場合によっては活動の中止や撤収を早めに決断することが災害から身を守ることになります。  
3.日常生活で取り組む防災および減災
災害に対する備えとしては「防災」があります。日本連盟では技能章に「防災章」を新設し、「防災」「減災」に役立つ知識や技能の修得、態度の育成に取り組んでいます(本誌2020年3月号参照)。 災害が続く中で最近注目されているのが「減災」という考え方です。「減災」とは「災害による被害を最小限に抑えるための対策」のことで、災害により被害が生じてしまうことは許容しつつも、人的あるいは物的な損害を減らそうとする考え方です。「減災」は個人や地域の単位でできる活動で、その中にはスカウトが自ら取り組めるものも多数含まれています。内閣府の『減災の手引き』(2009年3月)によると、「減災のポイント」は以下の7つであるとされています。
1.自助、共助 2.地域の危険を知る 3.地震に強い家 4.家具の固定 5.日ごろからの備え 6.家族で防災会議 7.地域とのつながり
ぜひ、「防災まちあるき」など、スカウト活動に生かせるアイデアを出し合ってみてください。 災害はいつ発生するかわかりません。災害が発生した時、自宅には自分しかいない状況もあり得ます。ですから、「減災」の考え方で、家族全員が備えておくことが大切です。そう、「そなえよつねに」です。   「セーフ・フロム・ハーム」・安全委員会    

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2020年7月号より

 

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