平成30年度夏季の諸活動に向けて
日本連盟コミッショナーより夏季の諸活動に向けての呼びかけが全国の都道府県連盟を通じて発信されました。全都道府県連盟宛・日本連盟コミッショナー発信文書
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。 平素は、ボーイスカウト運動へのご尽力ならびに本連盟の運営にご理解、ご協力をいただき厚くお礼申し上げます。 さて、貴連盟および所属各地区・団・隊においては、標記諸活動の準備が進められていることと存じます。 今年度も、スカウト活動のより一層の安全への注意喚起を図るため、下記の通り留意事項を通知いたしますので、貴県連盟指導者各位にご周知いただき、スカウト教育の好機である夏季諸活動において、セーフ・フロム・ハームガイドラインに則り、より安全で安心な活動が展開できるようご指導をお願い申し上げます。 また、異例ではございますが、今夏の異常気象などからその2を改めて発信しましたので、下記の通り通知いたします。 貴県連盟指導者各位(ジャンボリー派遣隊含む)にご周知いただくよう、お願い申し上げます。敬具
公益財団法人ボーイスカウト日本連盟 日本連盟コミッショナー 福嶋 正己
夏季諸活動の留意事項
1. 夏季特有の安全対策
平成30年度スカウティング誌5月号に、平成28年度のそなえよつねに共済事故データ分析が掲載されています。これによりますと、事故発生件数は383件で、8月の事故発生率がもっとも高く、全事故件数の21.4%を占めています。 8月の事故を分析すると、切り傷、骨折、打撲など野外活動中のケガが多く発生していますが、それ以上に多いのは虫刺されとなっています。- 熱中症対策 今夏は、猛暑による熱中症の被害が多く報道されております。 気象状況に細心の注意を払い、熱中症への注意を呼び掛けるともに必要に応じて予定の活動を見直す、中止するなどの判断を確実に行ってください。 野外での活動では必ず帽子をかぶり、こまめな水分・塩分補給、休憩を行います。水分補給はスカウトに任せるだけでなく、指導者が時間を決めて定期的に全員一斉に補給させることも必ず行います。熱中症は屋外だけでなく、室内やテント内でも起こり得ますので、換気とともに、水分補給等と併せ、通気性が良く吸湿・速乾衣服の着用や冷たいタオルによる冷却などを行い、食事と睡眠を十分にとるようにします。 熱中症を疑う場合は、涼しい場所へ移動させ、衣服を緩めて寝かせ、身体を冷やし、水分・塩分を補給します。なお、自力で水を飲めない、また意識がない場合は、直ちに救急車等を要請します。
- 水辺活動の安全対策 川や海の水には流れがあり、離岸流、ダンパー波、一発波、インショアホールなどといった様な危険な波があるとともに、冷たい水による低体温症、増水や消波ブロックに潜む危険もありますので、現地の情報等を事前に調査のうえ、十分な安全対策を講じるようにします。特に、海での活動については、平成30年度スカウティング誌7月号に「自己救命策の3つの基本」を掲載していますので、ご留意の上、安心・安全な活動を行うようにお願いします。
- 水辺活動の安全対策 川や海の水には流れがあり、離岸流、ダンパー波、一発波、インショアホールなどといった様な危険な波があるとともに、冷たい水による低体温症、増水や消波ブロックに潜む危険もありますので、現地の情報等を事前に調査のうえ、十分な安全対策を講じるようにします。特に、海での活動については、平成30年度スカウティング誌7月号に「自己救命策の3つの基本」を掲載していますので、ご留意の上、安心・安全な活動を行うようにお願いします。
- 登山・ハイキングでの安全対策 これらの活動には、道迷い、滑落、落石、落雷、崩落、鉄砲水などの危険があります。また、夏山登山でも低体温症は起こり得ます。これらの危険を認識し対処できるようにします。また、体力増強や体調管理を図り、コンパスワークや読図等のスキルも事前に修得し安全対策の一助とします。 日本連盟ホームページに、全県連盟宛H25-104号(教)平成25年12月18日付、日本連盟コミッショナー通達「登山・ハイキングの実施に関して」を掲載しておりますので参照してください。
- 食中毒対策 夏季は「O157」など食中毒が発生しやすくなります。食材の保存には十分注意して、予防対策を講じておきます。
- 天候チェック 局地的な集中豪雨など異常気象や落雷による事故・被害が発生しています。活動前に必ず天候チェックを行い、プログラムの実施、変更、延期または中止など適切に状況を判断して決定します。
2.キャンプ等の計画について
スカウトにとって、キャンプ等の行事は、日ごろ鍛えた技能を持って冒険にチャレンジし、仲間と頑張った喜びや達成感等を得ることが出来る最も活動的な機会であり、好奇心を満たし、魅力のもてる活動となり、自らの成長を促す絶好の機会となります。 そのため、指導者は、スカウトの興味や冒険心等を追求しつつ、教育効果と安全確保を心がけ、プログラムに対して、充分かつ綿密な計画を作成していきます。 現場では、スカウトの体力、技能、その日の気分等を考慮し、安全かつ楽しい経験が出来るよう取り組みます。また、終了後には、万が一に備えて、協力の要請をお願いした緊急連絡先や関係機関(病院、警察、消防、関係県連盟等)には無事終了の報告とお礼を行うようにしましょう。3.ヒッチハイクについて
ヒッチハイクは、多くの人との出会いや他人の優しさに触れるたり、旅の可能性を広げるものですが、偶然や運に左右され、前述にある綿密な計画に基づいた活動とはなりません。また、犯罪に巻き込まれる可能性も高くなりますので、ボーイスカウトではヒッチハイクは行いません。4.アレルギー疾患のあるスカウトの対応について
アレルギー疾患のあるスカウトが食物や蜂などのアナフィラキシーにより非常に短時間のうちに重篤な状態に至ることがありますので、アレルギー疾患のあるスカウトが安心・安全なスカウト活動を行うためには、保護者と指導者の間で日頃から意志疎通を図り、正しい知識に基づいた予防や対処が必要になります。5.各種書類の提出
活動場所や内容に応じて必要書類を県連盟や行政管轄部署等に提出することが求められています。- 登山等の活動を実施する場合、登山計画書(登山届)を管轄している警察署等に提出します。
- 活動を県外で行う場合は、隊指導者は団を経由して所属県連盟に県外旅行申請書を提出します。
- 全ての活動において、隊指導者は、実施計画書、安全計画書を必ず事前に作成し、団に提出し承認を得ます。
6.その他
- 通常時の安全対策に加え、夏季の気象条件や環境の変化など季節に応じた対策が必要です。
- 活動計画の折には、事前準備を十分行い、実施中は状況に応じた具体的な指示・指導を徹底しながら、安全確保に努め、万が一事故が発生した際は迅速で的確な対応がとれるよう取り組みます。そして、スカウト・指導者一人ひとりが安全への意識を高め「自分のことは自分で責任をもつ」心構えの醸成に努めます。
- 公共交通機関での移動や公共施設利用時は他の利用者の見本となるよう「ちかい」と「おきて」の実践に努めて行動します。また、キャンプ地が民家に接している場合は、近隣住民への事前の挨拶など迷惑を及ばさぬよう配慮します。
- 日本連盟ホームページに、スカウティング誌に掲載している「野外活動のための安心・安全講座」をとりまとめた冊子のダウンロードが可能です。また、過去の日本連盟コミッショナー通達も掲載されておりますので、併せて活用してください。
夏季の諸活動に向けて(その2)
熱中症対策の徹底
- 気象状況を把握し、活動を見直す 天候に加え、気温、湿度の状況も把握してください。 状況に応じて、予定の活動を見直す、中止するなどの判断を確実に行ってください。
- 安全な場所の確保と十分な休憩 活動中には、日陰や風通しのよい場所の確保を行い、休憩を十分にとれるよう努めてください。暑さや日差しにさらされる場合は、休憩をこまめにとり、無理をしないようにしましょう。
- 持ち物・服装 野外での活動では必ず帽子をかぶり、通気性のよい服装で活動しましょう。必ず飲み物を用意し、早めに飲むようにしましょう。折りたたみ傘など日よけとして活用するなど工夫しましょう。
- 水分・塩分補給 のどがかわいていなくても、こまめに水分をとりましょう。大量の汗をかくときは、特に塩分補給をしましょう。活動中は適宜、休憩と水分を取る時間を持ちましょう。
- その他の配慮 活動の内容によっては、単独で行動することがないようにすることも大切です。また、活動に参加する前の健康状態、とくに十分な睡眠や食事とるようにしましょう。これらのことをスカウトだけでなく指導者にも徹底してください。
- 熱中症と思われる時 すぐに医療機関へ相談、または救急車を呼びましょう。 涼しい場所へ移動し、衣服を脱がし、体を冷やして体温を下げましょう。 塩分や水分を補給しましょう。(おう吐の症状がある場合や意識がない場合は、むりやり水分を飲ませることはやめましょう)
- 参考 環境省の熱中症予防情報サイト(http://www.wbgt.env.go.jp/) 一般財団法人日本気象協会の推進するプロジェクト(https://www.netsuzero.jp/) 熱中症予防に関する緊急提言(日本救急医学会) (www.jaam.jp/html/info/2018/pdf/info-20180720.pdf) などを参考に、熱中症の予防、対策に努めましょう。