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13NA 実行委員 安藤 正紀 皆さんは、「インクルーシブ教育」という言葉をご存知ですか? 文部科学省は「共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システム構築のための特別支援教育の推進(報告)」(平成24年)の中で、次のように述べています。 『「インクルーシブ教育システム」(inclusiveeducation system:包容する教育制度)とは、人間の多様性の尊重等の強化、障害者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みであり、障害のある者が「general educationsystem: 教育制度一般」から排除されないこと、自己の生活する地域において初等中等教育の機会が与えられること、個人に必要な「合理的配慮」が提供される等が必要とされている』 『インクルーシブ教育システムにおいては、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、自立と社会参加を見据えて、その時点で教育的ニーズに最も的確に応える指導を提供できる、多様で柔軟な仕組みを整備することが重要である。小・中学校における通常の学級、通級による指導、特別支援学級、特別支援学校といった、連続性のある「多様な学びの場」を用意しておくことが必要である』 簡単にいうと、「障がいの有無にかかわらず、合理的な配慮のもとで共に教育を受ける」ということです。さらに、文部科学省の同資料には次のような記述もあります。『「共生社会」とは、これまで必ずしも十分に社会参加できるような環境になかった障害者等が、積極的に参加・貢献していくことができる社会である。それは、誰もが相互に人格と個性を尊重し支え合い、人々の多様な在り方を相互に認め合える全員参加型の社会である。このような社会を目指すことは、我が国において最も積極的に取り組むべき重要な課題である』 世界スカウト機構の規約には、スカウト運動は、「性別、出生、人種、信条による区別なく、誰をも対象としたもの」とあり、日本連盟教育規程にも「参加の原則」として「本連盟の組織は、平等の原則に従い、すべての人に開放される」との決まりがあります。 いうまでもなく、スカウト運動はこれまでも配慮が必要なスカウトを排斥することなく活動してきました。むしろ、障がいのある人の本運動への参加を奨励し、その参加にあたっては可能な限り、個別の障がいの状況に応じて適切な活動が実施できるように必要な環境整備と支援を行うこととしています。 スカウト運動が果たす役割、期待されていることのひとつは「共生社会」の実現です。すべてのスカウトには個別のニーズがあり、個別の配慮が必要であることは当然のことです。今夏予定していた第13 回日本アグーナリーは開催延期になりましたが、これからの社会に向けてインクルーシブな活動をぜひ一緒に考えていきましょう。

ボーイスカウト日本連盟機関誌「SCOUTING」2020年5月号より

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